「文明」は子供と若者が創った?!

読みかけた薄い文庫本の冒頭近くに、ハッとする箇所があった。

<比較的近年にいたるまで人間の寿命は短かった。(中略)世界最古の墓のひとつを掘り返してみると、平均死亡年齢が二十五歳であることを骨が示しており(中略)。そういうわけで、新石器時代の重要な発明発見――動物の馴致、車や帆やすきの発明、灌漑や発酵作用や冶金術の発見――は、ほとんど子供に近い人々のやったことであり、たぶん遊びの過程でなされたといっても嘘にはなるまい。>

そう言われてみると、例えばピラミッドやスフィンクスにしても、少なくとも「子供の心」を持ったファラオたちが作らせたような気がしてくる。世間知にまみれた中年や長老はそんな物を作りたいなどと夢にも思わないのではないか。…

この本『現代という時代の気質』(ちくま学芸文庫、柄谷行人訳、2015。原著は1966年、和訳単行本は1972年の刊行)の著者エリック・ホッファー(1902~83)は、学校教育を受けられず、肉体労働の日々の中で独学し、大学教授になっても65歳まで港湾労働を続けた「沖仲士の哲学者」。

なお、柄谷からエリック・ホッファーの話を聞いて影響を受けた中上健次は、羽田空港で肉体労働をしながら小説を書いた。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック