『強打者列伝』

著者は、今もテレビのコメントで独自の存在感を発揮する野村克也(角川、2014)。

内容は日本プロ野球史上の歴代強打者たち。野村自身が王貞治に次ぐと言ってよい、数々の記録を残す強打者であり、長年監督も務めて実績を残した(生涯勝率はほぼ5割だが)、さらにはポジションが捕手だったことも併せ、最適任の著者だろう(選手出身でない記者など、純粋な観客だった人にも適任者はいるだろうが)。

一番「へー」と思ったのは、僕の生まれる、ないし物心がつく前の、名前しか知らないといってよい、大下弘(おおしたひろむ。現役時代の川上哲治と同時代)。若い頃の野村に南海ホークスの鶴岡監督は、「唯一天才だと認めるのは大下だけ」とよく語ったという。

「史上最強のスーパースター、ON 」という章があるように、著者の評価は衆目の見るところと一致しているが、唯一納得がいかない点を挙げれば、西武ライオンズとダイエーホークスの主軸だった秋山幸二を、「外野手出身として日本一になった『監督』」(他には若松のみ)としてしか取り上げていないこと。

強打者として取り上げられた中には、池山、広沢、新庄、稲葉、内川、糸井、坂本、長野、中田、大谷など、秋山ほど実績のない選手も多いのに!

さすがに野村らしく、張本、田淵、山本浩二、掛布、清原などの欠点(人間性の面や、野球に対する取り組み姿勢や知性の欠如)を書くことも忘れない。そして、その指摘は的を射ているように思われる。

――だから野村は嫌われる…。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック