テーマ:思想

渡辺京二の網野善彦批判

読みかけの渡辺京二『アーリイモダンの夢』(弦書房、2008)に日本史学者・網野善彦への批判がある(2002年発表「徳川期理解の前提」中の一節)。引いてみると、 <戦後の左翼史学は散々馬鹿の限りを尽して来たのだから、彼らの最近の言説になし崩し的な方向修正の気分が出て来ているのは当然の成りゆきといっていい。しかし、現代フランス思想や…
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思想学、俳優、演出家

返却前の本の一部: 全て飛ばし読みだが…。 1 田中浩編『思想学の現在と未来 現代世界――その思想と歴史①』(未来社、2009) 2 仲代達也『遺し書き』(主婦と生活社、2001) 3 大滝秀治『長生きは三百文の得』(集英社、2013) 4 『蜷川幸雄・闘う劇場』(NHK、1999) 1は唯一、堅いアカデミックな本。…
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渡辺京二より藤原新也を先にやれ

「渡辺京二より藤原新也を優先すべきではないか、僕は」 前回の日記を書いた後、この思いが高まった。 渡辺氏の著作の世界をもっと知りたいと思うようになったきっかけは、人々の従来の江戸時代に対するイメージを新たにした『逝きし世の面影』だが、これは当然ながら、書物、中でも幕末から明治にかけて日本を訪れた欧米人が残した「文章」や「…
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渡辺京二の世界へ

いま僕が気になっているのが、渡辺京二(85歳)がある種のまなざしをもって描いた日本の過去の世界。 昨日、本屋の棚にあった『逝きし世の面影』『江戸という幻景』『幻影の明治』を買った。このうち『逝きし…』は図書館から借りて既読であり、渡辺氏に惹かれるようになったきっかけの一つ。 比較的最近読んだ『北一輝』はいいと思ったが、昔…
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死への覚悟

返却前の本の1冊: 帯津良一『ピンピン、コロリ。 気持ちよく生き愉しい死に方をするために』(青志社、2010) 著者は1936年生まれ。東大医学部卒の医師・病院経営者で著書多数だが、西洋医学に東洋医学や代替療法を含むホリスティック医学の確立を目指す、ということは、現代医学界のメインストリームではない、ということだろう。 …
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ジブリと柳田國男

先日、横浜(神奈川近代文学館)でやっている「生誕140年 柳田國男展」に行った。そこでスタジオジブリの鈴木プロデューサーを見かけた(話しかけなかったが)。宮崎駿は見かけなかったが、すでに来たか、これからか。 宮崎駿が民俗学や人類学に多くのものを負っていることは間違いないだろう。「遠野物語」の幻想譚にも親近感を覚えたか。 …
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「喪失」としての高度成長

未読のものも含め図書館から借りている本の1冊が藤原新也『日本浄土』(東京書籍、2008)。読んだのはごく一部のみだが。 この本も含めて多くの著作に含まれるさまざまなテーマのうち、藤原新也という表現者が運命的に抱え、僕自身共感するのが、「喪失」としての高度経済成長ということである。これは同時代を生きた日本人なら程度の差はあれ味わっ…
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ナベツネの靖国、東条観

『靖国戦後秘史 A級戦犯を合祀した男』の巻末にナベツネこと、読売新聞グループ本社会長・主筆、渡辺恒雄の『文藝春秋』2014年9月号への寄稿文の主要部分が掲載されている。読売新聞も『文藝春秋』もほとんど読まないので、僕にはナベツネの靖国や東条英機に対する考えが新鮮だった。ポイントを抜粋すると――。 ・ 「A級戦犯」が分祀されない限…
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A級戦犯を合祀した男

毎日新聞「靖国」取材班『靖国戦後秘史 A級戦犯を合祀した男』(角川ソフィア文庫、2015;単行本は2007年刊)を読んだ。 表題に掲げたのはこの本の副題。そこに見られるように、「靖国」という問題へのアプローチとして、政治的・外交的・思想的な面からよりも、むしろ「A級戦犯の合祀」という核心的問題に迫る際に、これをほぼ「独断」で行っ…
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『日本のナショナリズム』の引用3(最後)

・斎藤(隆夫)のリアリズムでは、たとえば天皇制は大きな力をもって現実にあるものだから、日本の立憲政治の中ではそれを使っていくしかない、と考える。近代の国民国家は植民地を手に入れるという戦略をとって帝国主義戦争をおこなってきたのだから、われわれは侵略戦争をやっているんだ、聖戦という美名に隠れて国民の犠牲を見ないのは虚偽だと、はっきり言った…
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『日本のナショナリズム』の引用2

・日露戦争の後、「日本国民は天皇のために戦ったのだ」という考え方が広がることで、キリスト教徒に対する批判が強まっていた。(中略)そのような流れのなかで、加藤弘之は、その著書『吾国体と基督教』(1907年)の中で、こう指摘した――キリスト教徒はわが国体に反する。反国体論者であり、最終的に彼らの立場は天皇を神と認めず、政治的な天皇機関説であ…
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松本健一『日本のナショナリズム』1

先日、松本健一『日本のナショナリズム』(ちくま新書、2010)を読んだ。 松本氏の著作については、1970年代の北一輝ブームの中でデビュー作(『若き北一輝…』(1971))を買って持っていたが、読了しないままに終わった気がする。その後も長い間、良い読者ではなかったが、ここ1、2年で何冊か読んだ。 表題の新書は、民主党が政…
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丸山真男vs吉本隆明 2

『丸山真男と吉本隆明―回想風思想論―』: 著者の柳澤勝夫氏は1942年生まれの元高校教師。本屋の棚でこの本を見るまで知らなかった。 この本のうち、タイトルに採られた巻頭から170頁余の思想論を読み、両者への批判も含めて納得するところが多かった(学者や評論家による書評や批判・コメントなどは一つも読んでないが)。 この論…
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丸山真男vs吉本隆明

このところ自分なりに気になっていたテーマ。 政治学者の山口二郎が、 「終戦直後に丸山真男が一連の論文を書いたから、日本の戦後は始まったのだ。単に時間が経っただけでは、日本に戦後は訪れなかった」 とまで、これ以上はないほど賞賛した丸山真男。 これに対し、かつて吉本は「丸山真男論」の冒頭で、戦後民主主義の代表…
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「8・15革命伝説」の皮相

直前の日記に引用した箇所のすぐ前に、以下のようにある。 (前略)ところが、米谷匡史の巧みな考証によれば、46年3月6日にGHQの指示により、新憲法の骨格が「憲法改正草案要綱」として発表されると、丸山の思想にも大きな転換がおこり、「超国家主義の論理と心理」はその日から同月22日までのあいだに執筆された。この段階で、右の憲法研究委員…
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丸山真男の「転回点」

安丸良夫『現代日本思想論 歴史意識とイデオロギー』(岩波現代文庫、2012。元は2004年に岩波から)全6章のうち、興味を惹かれた3つの章を読んでみた。 そのうち、丸山をそれほど読んでいない僕が思っただけでなく、丸山の著作と思想に詳しい人でも「へー」と思うかもしれない箇所を以下に引いてみる。 ≪もっとも丸山自身も、「超国…
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1970年前後の煩悶鬱屈

未読だった中上健次「十九歳の地図」を読んでみた。 (この表題作を含む河出文庫によれば、『文藝』1973年6月号に初出、翌74年8月に同社刊の中上健次第一作品集の表題作となった。また、1979年の同名映画化作品も戦後映画史上に名を残す作品として気になっているが、未見) 主人公は地方から上京し、予備校に籍を置き、新聞配達をし…
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『日本宗教史』

返却前の本の1冊(末木文美士;岩波新書、2006)。 この並の厚さの新書にしては大きなテーマを扱う、意欲的な本は、丸山真男の「古層論」がすでに否定されているという認識から始まる。「有史以来変わらない発想法という前提はあまりに非現実的」だと。 そこで著者は、「<古層>は歴史的に形成される」と見て、その形成と「発…
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放蕩息子の世代

やはりmixiの「つぶやき」とコメントの続きをここに。 ************* 2年前だったか、GW前半に柄谷の『世界史の構造』は一気に読んだが、後半に北一輝の『国体論及び純正社会主義』はすぐに挫折。明治時代日本の国家・社会・法律・政治と文語文体。その古めかしさの中に入っていくには、学者的な情熱が要る パトリ …
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歴史と体験

新刊本は出ていないので、昔持っていた橋川文三『歴史と体験 近代日本精神史覚書<増補版>』の古本(春秋社、第一刷1968、第二刷1971)をアマゾン経由で買った。 冒頭の「ある往復書簡――吉本隆明に」では、次のように述べられている。 「ぼくは戦争体験の重大さとそれへの『固執』とは区別して考えます。経験そのものへの固執がその…
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原爆体験=丸山真男の思想的限界

平野敬和『丸山眞男と橋川文三 「戦後思想」への問い』(教育評論社、2014)を読んだ。 書名には二人の名が併記されているが、この本のページ数の大部分は丸山論が占めている。 その中で、僕にとって最も刺激的だったのが、丸山自身の広島での被爆体験と、それについて彼が生涯にわたって「思想化できなかった」ことに触れた個所である。 …
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橋川さんが三島由紀夫を語るとき

宮嶋繁明『日本浪漫派の精神』(弦書房、2014年)を読んだ。 この本、思想史家・橋川文三が三十代半ばでデビュー作を書き上げるまでの半生の、初の本格的な伝記を読んで、なぜか「橋川さん」と呼びたくなった。有名人や歴史上の人物を呼び捨てにするのと違って、以前よりも、人物そのものに、より親近感を覚えるようになったのだと思う。 僕…
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左翼:右翼:政治嫌い

自分の中の傾向を敢えて比率にすると、3:1:6ないし3:2:5くらいか。 高度成長期に育ち、大学受験のときに浅間山荘事件をテレビで見ていた世代なので、その時代の影響もあって、反権力的感性・志向が保守的志向に勝っている。 しかし、二十歳前後には戦中派世代の思想家である吉本隆明に惹かれ、近年、最も気になる思想家は、やはり戦中…
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グリム、バルト、ランボー、トロツキー…

いつものように、本を返したついでに、また借りてきた。 他の分室から取り寄せた2冊のほかにも借りようと見たが、開架式のフランス文学の棚には、プルーストに関するものがなく、隣のドイツやロシアの棚から、閉館間際で時間がない中、選んだのが――。 「童話」化、さらに「ディズニー」化される前の、民話としてのグリム。 アメリカ…
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福沢、丸山、ひろたまさき

返却前の本の中に、『学問のすすめ』現代語訳、『丸山真男話文集3』、ひろたまさき氏が著者の一部である『日本の社会史 第7巻』と校注を担当した日本近代思想体系『差別の諸相』などがあるが、じっくり書いている暇がない。 ひろたまさき氏的な観点からすれば、福沢は、国民に「学問をすれば将来が開ける」と説いたが、その半面に、世の中にはいくら学…
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もう読んでますからね

返却前の本: 1 木田元『哲学と反哲学』(岩波書店、1996) 2 廣松渉著・小林敏明編『哲学者廣松渉の告白的回顧録』(河出書房新社、2006) 3 小熊英二『<民主>と<愛国> 戦後日本のナショナリズムと公共性』(新曜社、2002) 4 小熊英二・姜尚中編『在日一世の記憶』(集英社、2008…
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文章がエロティックじゃない

「文章がエロティックじゃないから…」(=ダメ)とは、30数年前、吉本隆明に会いに行った際に、哲学者廣松渉について聞いたときの答えである。当時、廣松は、吉本とともに、学生や若者に人気の高い思想家だった。 ここでの「エロティック」とは、もちろん性的ということではなく、感覚的・感性的な刺激や喚起力がある、「文体」の魅力がある、というこ…
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セキヨウ妄語と戦後思想

手元にある返却前の本は、どれも大なり小なり飛ばし読みだが、改めてまともに読もうと思った一冊(木田元『哲学と反哲学』)だけはまだ返さないことにする。 返す本のうち、二冊だけ触れる。加藤周一『夕陽妄語 第一輯 1984・7~1987・12』(朝日新聞社、1997)冒頭の振り仮名から、「ゆうひ妄語」ではなかったことを知った。新聞連載中…
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丸山真男と高度成長

7月のNHKのEテレでの丸山真男の番組では、戦後日本の高度経済成長について、丸山真男は捉え方を誤った、ないしうまく評価できなかった点が指摘されていた。 この点について、引き合いに出され、対比されたのが吉本隆明だった(吉本はもっと早くから、丸山という戦後民主主義のチャンピオンにして、政治学・政治思想史の巨人をボロクソに批判していた…
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柳田国男と西田幾多郎

図書館に返す前の本が十数冊あるが、どうしても書きたい本はないので、買って読んだ2冊の備忘メモを書いておく。 1.赤坂憲雄『柳田国男を読む』(ちくま学芸文庫、2013) 2.小林敏明『西田幾多郎の憂鬱』(岩波現代文庫、2011) どちらも、近代日本思想史上の大きな存在を改めて読み直すことで、新たに浮かび上がってくる問題…
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