テーマ:歴史

バード(ら)が見た日本

『日本奥地紀行』(高梨健吉訳、平凡社)の著者イザベラ・バード(1831-1904)が西洋の女性として世界で初めて、外国人がほとんど訪れたことのない日本の東北地方や蝦夷地(北海道)を従者の日本人青年と二人で旅したのは1878(明治11)年のこと。彼女が満47歳になる少し前だった。 まだこの本(元は母国に住む妹宛ての手紙で、巧みなイラ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

2つの移民会社

少し前に読んだ本に出てきた日本近代の2つの移民会社が頭の中で一つになっていた。 榎本武揚が創業し、曲折を経て現在もあるのが「南洋貿易株式会社」。 大正時代に設立された国策殖民会社が「海外興行株式会社」。
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

歴史の「表層」と「深層」

自分なりに今後の余生で追究するテーマを絞ろうとすると、「歴史」ということになりそうだが、これがすこぶる多様で広大だ。元々、比較的近い分野だった近代日本の歴史や思想史だけでも相当な分厚さの先人の蓄積がある。 一昨日買った文庫本の1冊がフェルナン・ブローデル『歴史入門』(中公文庫)。ブローデルは、マルクス主義や唯物史観がかつての力を失…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

寺島実郎と世界認識

先日、寺島氏の講演を聞きに行った。TBSの『サンデーモーニング』やテレ朝の『報道ステーション』での限られた時間と制約での断片的なコメントを拝聴するが、今回は2時間以上ぶっ続けでのレクチャーを聞いた。講演後の懇親会では、何代か前の日銀総裁を見かけた。 渡された資料集のタイトルが「時代認識と提言」(2016年 春号)、120ページ余り…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「昭和」の写真

半ば写真集的なものと思っていた『ひとりの記憶』がそうでなかったので、同時に2冊の写真集を買った。 『写真家が捉えた 昭和の子ども』(2014)と『米軍が見た東京1945秋』(2015)。 前者は昭和11(1936)年から昭和51(1976)年までの、19人の写真家が日本の子供たちを撮ったモノクロ写真170点。写真を見なが…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『ひとりの記憶』

朝日の書評を読んで興味を抱き、昨夜買ったのが橋口譲二『ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち』(文藝春秋、2016年1月)。 著者が写真家であることから、この本も半ば写真集的な構成を期待していたが、違った。戦争を機に海外に住むようになり、そのまま日本に帰らず、周りに他の日本人がいないような僻地で生きてきた日本人の老人…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

サンフランシスコ講和会議、日米安保条約

2月20日b3面下段の大半を占める記事が「サザエさんをさがして」で、1951年9月9日付朝刊の4こま漫画「サザエさん」と解説記事。米サンフランシスコの現地時間で9月8日、日本時間では9日、吉田茂首席全権が対日平和条約に調印し(発効は翌52年4月28日)、日本は独立を回復した。 講和条約には敗戦国日本を含む52カ国が参加。署名を拒否…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

信仰・国家・社会

フランス現代思想(翻訳でミシェル・フーコーやロラン・バルトなど)を読んでいた頃から何十年も経ち、エマニュエル・トッドのことも知らなかったが、2月11日の朝日新聞にインタビュー記事が大きく割かれていた。 記事の略歴によると、同氏は「1951年生まれ。家族制度や識字率、出生率に基づき現代の政治や社会を人類学的に分析、ソ連崩壊などを予言…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

玉砕で生き残る

直前のページで引用した山田風太郎の戦時中の日記とは、まさに正反対の死生観を示す一文に遭遇した。 <「玉砕で生き残るというのは卑怯ではなく、〝人間〟として最後の抵抗ではなかったか」という独白は、当時、誰も口に出せないが誰もが感じていた本音であったろう。>(2016年1月31日『朝日新聞』読書欄「ニュースの本棚」で、荒俣宏が、南太平…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ガンジーvs「日本精神」

山田風太郎『戦中派虫けら日記』の昭和18(1943)年3月3日は、まだ満21歳の若者に過ぎない山田が、いわば当時の日本人全体を代表して、インド独立運動の指導者であり、欧米列強と闘うアジア人の代表でもあるマハトマ・ガンジーを激しく軽蔑した内容である。 ガンジーが「2週間の断食を終了し、快くオレンジ・ジュースを飲みほした」という新聞…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

マレー沖海戦一周年!

かばんの中に入れている文庫本、山田風太郎『戦中派虫けら日記 滅失への青春 昭和17年~昭和19年』(筑摩)の冒頭近くにあった一節にビクッとした。「マレー沖海戦」とは戦史上有名なのだろう。軍事ファン向け雑誌などで見かける言葉。その1年後の1942年12月10日、弱冠20歳の若者だった山田風太郎は、リアルタイムで次のように記していた。今から…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

原節子と李香蘭:女優が時代精神を体現した頃

四方田犬彦『李香蘭と原節子』(岩波現代文庫、2011年)を読んだ(一部飛ばし読み)。 改めて言うまでもなく、大多数の日本国民、少なくとも国家と代表的な論客や表現者の多くが、第二次大戦での敗戦を境に、その「思想」を180度転回させた。映画もその表現媒体の一つ。 このことに関連して、著者の四方田は、次のように言っている。 …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

霊柩車の誕生と消滅

NHK「所さん!大変ですよ」を見て「へー」と思ったこと。 黒塗りの自動車の屋根の部分を御輿のような金色と伝統的な寺社建築のような装飾で彩った霊柩車(「宮型霊柩車」と呼ぶらしい)が、今やほとんど用いられなくなっているという。大手葬儀会社(だったか)にも、中古で売ろうにも買い手がいないから膨大に残っているという。ネットのオークションで…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

一冊もないと思っていた網野善彦

の本が二冊見つかった。ともに講談社学術文庫(『中世再考』『中世の非人と遊女』)。 10年、20年前に買ったのは処分していたから、ここ1、2年位のうちに買ったものと思われる。 あらためて拾い読みしたが、渡辺京二が著書で批判していたため気になっていた記述(網野氏の歴史観・世界観が左翼的・近代(主義)的イデオロギーに偏向してい…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

池田勇人って

図書館から借りている本の1つが『沢木耕太郎ノンフィクションVII 1960』。 後半に収載された「テロルの決算」は既読だが、前半の「危機の宰相」については知らなかった。池田勇人は、60年安保反対運動が高揚し岸信介が退陣した後の1960年7月から東京オリンピックの翌月、1964年11月まで首相を務めた。日本の高度成長期を代表する政…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「マッサン」と軍需

昨日の朝から午後にかけての総集編本体と、今日はスピンオフと、去年のNHK朝ドラ「マッサン」総集編の大半を見てしまった(本放送では、勤務時間帯の都合で後半はほとんど見なかった)。 この「マッサン」には主人公のモデルとなったマッサンこと竹鶴政孝の関係で、今のサントリーやニッカの社史に関わる内容が出てくる。その一端として「へー、なるほど…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

渡辺京二の網野善彦批判

読みかけの渡辺京二『アーリイモダンの夢』(弦書房、2008)に日本史学者・網野善彦への批判がある(2002年発表「徳川期理解の前提」中の一節)。引いてみると、 <戦後の左翼史学は散々馬鹿の限りを尽して来たのだから、彼らの最近の言説になし崩し的な方向修正の気分が出て来ているのは当然の成りゆきといっていい。しかし、現代フランス思想や…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

司馬遼太郎のデタラメを愛した日本人

読みかけの渡辺京二『幻影の明治』の中に司馬遼太郎批判の文がある(2010年4月号『情況』「坂の上の雲」特集収載)。 引いてみると、 <「明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう。産業といえば農業しかなく、人材といえば三百年の読書階級であった旧氏族しかいなかった」。不思議な文章、奇天烈な認識というほかはない。(中略)ポルト…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

渡辺京二より藤原新也を先にやれ

「渡辺京二より藤原新也を優先すべきではないか、僕は」 前回の日記を書いた後、この思いが高まった。 渡辺氏の著作の世界をもっと知りたいと思うようになったきっかけは、人々の従来の江戸時代に対するイメージを新たにした『逝きし世の面影』だが、これは当然ながら、書物、中でも幕末から明治にかけて日本を訪れた欧米人が残した「文章」や「…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

渡辺京二の世界へ

いま僕が気になっているのが、渡辺京二(85歳)がある種のまなざしをもって描いた日本の過去の世界。 昨日、本屋の棚にあった『逝きし世の面影』『江戸という幻景』『幻影の明治』を買った。このうち『逝きし…』は図書館から借りて既読であり、渡辺氏に惹かれるようになったきっかけの一つ。 比較的最近読んだ『北一輝』はいいと思ったが、昔…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

山本七平の陸軍体験

最近、電車内などでちびちび読んだのが山本七平の陸軍体験をめぐる2つの本、『一下級士官の見た帝国陸軍』と『私の中の日本軍』上・下(共に文春文庫。原著は前者が1976年、後者が1975年の刊)の計3冊だが、詳しく引用したりコメントしたりする気にはならず。 その理由は、40年余り前に執筆され掲載されていたのが雑誌の連載で、連載時の戦時…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

『日米戦争と戦後日本』

最近読んだ本の備忘メモ: 著者の五百旗頭 真(いおきべ・まこと)氏は政治外交史が専門の学者で、神戸大学教授などを経て防衛大学校長を務めたが、この本(講談社学術文庫、2005年。元は大坂書籍から1989年)には特に右派というようなものは感じなかった。 アメリカ政府は日本との開戦から半年!で早くも、日本の「戦後処理」に着手した(…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

「喪失」としての高度成長

未読のものも含め図書館から借りている本の1冊が藤原新也『日本浄土』(東京書籍、2008)。読んだのはごく一部のみだが。 この本も含めて多くの著作に含まれるさまざまなテーマのうち、藤原新也という表現者が運命的に抱え、僕自身共感するのが、「喪失」としての高度経済成長ということである。これは同時代を生きた日本人なら程度の差はあれ味わっ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

ナベツネの靖国、東条観

『靖国戦後秘史 A級戦犯を合祀した男』の巻末にナベツネこと、読売新聞グループ本社会長・主筆、渡辺恒雄の『文藝春秋』2014年9月号への寄稿文の主要部分が掲載されている。読売新聞も『文藝春秋』もほとんど読まないので、僕にはナベツネの靖国や東条英機に対する考えが新鮮だった。ポイントを抜粋すると――。 ・ 「A級戦犯」が分祀されない限…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

A級戦犯を合祀した男

毎日新聞「靖国」取材班『靖国戦後秘史 A級戦犯を合祀した男』(角川ソフィア文庫、2015;単行本は2007年刊)を読んだ。 表題に掲げたのはこの本の副題。そこに見られるように、「靖国」という問題へのアプローチとして、政治的・外交的・思想的な面からよりも、むしろ「A級戦犯の合祀」という核心的問題に迫る際に、これをほぼ「独断」で行っ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

兵馬俑vs死海文書

兵馬俑の発見は1974年、死海文書は1947年。どちらも発見当時、「20世紀最大の考古学的発見」と言われたという。 どちらが真に「20世紀最大の考古学的発見」なのか? こんな問いはまさに「愚問」なのかもしれない。 (死海文書について、あらためてウィキって見ると、 <文書の成立は内容および書体の分析と放射性炭素年代…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

始皇帝と大兵馬俑

昨日、東京国立博物館で開催中の特別展を見てきた。 「20世紀最大の考古学的発見」とも言われるこの兵馬俑発見のニュースは今から41年前とのことだが、そのニュースをNHKなどで見たことはよく覚えている。 (それ以前は1947年の死海文書発見に同様なことが言われたらしいが。考古学は扱う範囲が地球大で、時間も数百万年から数百年ま…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

現人神の創作者たち

山本七平の文庫版下巻も読了(といっても古文の引用はほとんど飛ばした)、自分なりに理解をしっかりさせようと傍線や印を付けた箇所に付箋を貼ったりしていたが、それをもとに要約するのは断念した。連載での論述スタイルをそのまま再整理していないのだろうが、繰り返しないしその変奏が多いことはその一因。 いっそのこと、松岡正剛『千夜千冊』当該夜…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

蘭学の影響か?

先月、江戸東京博物館での「城」がテーマの展示を見たときに思ったこと。 大きな見世物的な展示物はなく(実寸大の天守閣を展示するわけには行かないだろう)、やや地味だった感あり。 城の改修の図面などが多かったが、そのかなりのものが現代の建築図面と変わりなかった印象。城の図面も蘭学の輸入知識によっていたのか? 素人なのでわからず。
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

諭吉vs海舟by安彦良和

『虹色のトロツキー』の作者・安彦良和氏による4巻本コミック『王道の狗(いぬ)』全4巻(中公文庫)を読んだ。 物語は自由民権運動の終息後、日清戦争へと向かう日本と東アジアの歴史の中で、秩父事件や大坂事件で囚われの身となり北海道の監獄を脱獄した2人の若者を軸に展開する。 ストーリーは省くが、作者は日清戦争を「邪悪な戦争」とし…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more