吉本の「第二の敗戦」、精神鑑定…

返却前の本:

1)吉本隆明『第二の敗戦期 これからの日本をどう読むか』(春秋社、2012)
2)高岡健『精神鑑定とは何か 責任能力論を超えて』(明石書店、2010)
3)立花隆『天皇と東大 大日本帝国の生と死 上』(文藝春秋、2005)
4)中島岳志『血盟団事件』(文藝春秋、2013)

5)『日本の歴史02 王権誕生』(講談社学術文庫、2008)
6)『日本の歴史03 大王から天皇へ』(同、2008)
7)『日本の歴史08 古代天皇制を考える』(同、2009)
8)前田晴人『継体天皇と王統譜』(同成社、2010)

9)吉屋信子『私の見た人』(みすず書房、2010)
10)『ドレの神曲』(宝島社、2009)
11)『指紋を発見した男』(主婦の友社、2005)
12)『ケンブリッジ版各国史 南アフリカの歴史』(創土社、2009)

1は、2008年に行われたインタビューを基に、吉本の死後に刊行された。この本で語られる吉本の考えについては、必ずしもすべて的を射ているとは思わないが、80代になっても現役思想家だったと言えようか。
「第二の敗戦」でググッてみたら、古くは江藤淳が、東日本大震災後には田原総一朗が、つい最近は安倍首相の靖国参拝後に元外交官が、それぞれ別の文脈と意味で言っている。

吉本自身はどういう意味を込めているかと言えば、「知識人たちが中産階級の中以下の人たちとは関係ないことしか言わない」という今の状況のことだという。これについて「平和な戦争において日本国が依然まだ独立していないな」と吉本は感じ、「敗戦直後と似ているな」という。

――この吉本の直感と理屈について、前半の「中の中以下云々」は当たっている気がするが、後半の敗戦直後云々はぴんと来ないのが正直なところだったが、他の個所と考え合わせるとわかる気がしてきた。

敗戦直後、獄中から釈放された共産党幹部やリベラル派の知識人は、この世の春とばかり戦後民主主義の論陣を張っていたが、国民の大多数は、政府や軍部と同様に、大東亜戦争の大義を信じ、敗戦によって深く傷ついていた。そのことに気づいていないか、気づいていても知らぬ顔をして議論していた知識人たちと、現代の知識人たちの現実に深くコミットしない姿勢とが、吉本にはオーバーラップして見えたのだろう。

2の著者、高岡健は、僕の中学・高校の同級・同期生で、岐阜大准教授の精神科医。数年前に会ったとき、「学長に嫌われているから教授になれない」と言っていた。また、彼がやっている「心」の精神医学よりも、「脳」の精神医学のほうが、教授選抜プロセスにおいて論文1本に掛ける係数が1桁高いほど、物質的・自然科学的精神医学が日本では高く見られているのだという。

この本の内容自体は、タイトルのとおり、精神医学や裁判にかかわる専門家から、関心のある一般人まで、このテーマについて知っておくべきことが書かれている。

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