日本一の男泣き

全日本柔道選手権を見た。穴井隆将が判定で勝ち、辺りかまわず号泣し、ぼろぼろと涙をこぼし、かろうじてインタビューに答えた。

久しぶりに見る、うれしさの極致の、感極まっての男泣きだった。いつ以来なのか、思い出せないくらいの。少なくとも、北京オリンピックや大相撲やWBCでは見ていない。そう、思い出した。スポーツ選手の男泣きとしては、1998年冬の長野オリンピックの、スキージャンプ原田以来のような気がする。でもあの時の原田の涙は、もっと複雑微妙だった。ミスをして日本チームが負け、またしても窮地に陥れたベテランが、ついに会心のジャンプをして、勝った。あの時とは違う。

100Kg級では今、世界ランキング一位の24歳、穴井は、187センチで体形も太っておらず、イケメン。篠原から「全日本での優勝は格別、味が違う」と言われ、自身も狙っていたが、重量級のベテラン棟田は、怪我で全力が出せないながらも、有効を取って優勢だった。穴井は攻め続けて棟田に指導を受けさせ、両者有効のタイに持ち込み、判定3:0で勝利をもぎ取った。

一つの道に精進し、ついに一番になった。その時、不覚にもと言うか、辺りかまわず、見ているものが驚かされるくらい、異様に号泣してしまう。――はっとした、美しいシーンだった。

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