まずメディアを疑え!

『日本マスコミ「臆病」の構造』(宝島社、2004年11月刊)という本を読んだ。著者はカナダ人ジャーナリスト、ベンジャミン・フルフォード氏。内容は、先日このブログで「第五の権力、トヨタ」と題して紹介した『トヨタの闇』という本が「スポンサータブー」という点に絞っていたのに対して、日本の大手マスコミが「知っているのに報道しない」さまざまタブーを取り上げている。

例えば、
・橋本元首相には、その場にいなかった村岡元官房長官がスケープゴートになっている日歯連への1億円闇献金事件(この検察によるでっち上げは、大手メディアのテレビも批判しているが)以外に、秘書が桃源社の佐佐木社長に4000万円の仲介料を要求したと国会で証言したことや、福祉行政汚職、泉井マネー疑惑、中国人女性愛人疑惑など、政治生命を失っておかしくないスキャンダルがいくつもあったのに、ついに失脚しなかった。
・小泉元首相の元選対本部長・竹内清が稲川会の故・石井進会長と深いつながりがあった。ある産廃会社の給与支払名簿から小泉首相(当時)の親戚・知人がたくさん出てきた。竹内氏本人はかつて暴力団組員だったと話し、石井会長とは親しい関係にあったと認めている(フライデー報道による)。
・住専問題では、国民の多額の税金がつぎ込まれた。住専から金を借りたまま返さないたくさんの暴力団が無罪放免となったのに、日本の新聞はこれをすべて知っていながら追及しなかった。著者自身、日経の英字紙で不良債権とヤクザに関する問題を追及し、書いていたとき、上司からストップをかけられ、日本の大手マスコミを見限った。
・『週刊新潮』では、創価学会の取材に17人以上の記者とリサーチスタッフが取材していたが、著者が一時期勤めていた日経新聞の標準的な取材態勢は、記者1人、デスク2人で各ストーリーをカバーしていた。
・民主党から初当選したが学歴詐称で辞職した古賀潤一郎より、メディアは小泉首相(当時)のロンドン大学留学、安倍晋三官房長官(同)の南カリフォルニア大学留学を問題にすべきだった。ジャーナリストが問題にすべきは権力者である。
・NHKや朝日、読売などの大メディアは取材で知りえた話のうち、絶対に書けない話を、しばしば雑誌にリークする。雑誌でも書けないことは外国メディアか、インターネットが最後の駆け込み寺になる。
・日本弁護士連合会会長を務めた中坊公平は著者に語った。「日本で紛争処理に法律システムが使われるのは全体の20%に過ぎない。大部分のもめごとは、ホテルの部屋や喫茶店でヤクザによって処理されている(中略)警察は助けにならない。なぜなら、彼らは退職後の天下り先として、ヤクザ関連の業界、たとえばパチンコ、風俗、違法賭博の小部屋に落ち着こうとしているのだから」。
・アメリカの新聞記者は通常、小さな新聞社に入り、記者として良い記事を書いてきたという実績への評価によって、大手新聞社に採用される。ジャーナリストはあくまで個人である。一方、日本では有名大学を出たか、コネで大手メディアに入り、そのまま一生その会社に勤めるサラリーマンである。ほとんどの記者が、書く記事の内容より、高給と安定した地位や生活を選び、無事に定年を迎える。
・皇室情報の流れは、宮内庁記者クラブ記者が知っていても書けない情報が週刊誌にリークされ、それでもだめなら外国の新聞に流される。
・日本国内で最も信頼度の高いNHKは、「中立」「公平」という幻想を、知っているのに言わない自らの「臆病」の隠れ蓑にしている。これは国民への罪であり、裏切りである。報道に中立はありえない、白か黒であり、スタンスを明確にして記事を書くべきである。
・著者によれば、日本で信頼できるのは、まず右翼の街宣車。次に週刊誌と夕刊紙。そして大手紙や民放テレビ、最後にNHK――大半の日本人と正反対の順序である。

――こうした著者の指摘はほぼ正しいと思う。だから、心しておきたいのは、「まずメディアを疑え!」ということ。

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