ソメイヨシノ革命

日本の桜を代表する品種ソメイヨシノが、江戸時代末期、染井村(今の東京駒込の染井墓地の辺り)の植木屋が発祥だということは、今や半ば常識のはずだが、朝日新聞土曜版の記事でその「革命性」にはっとさせられた。

この記事は佐藤俊樹『桜が創った「日本」』(岩波新書)を踏まえる。この書は「ソメイヨシノの出現を境にして、桜とは何か、桜を見るとは何かの感覚が大きく転換したように見える」と指摘する。一本の原木からの接ぎ木挿し木で、今や日本の桜の実に8割を占める。

江戸時代までの花見のスタイルは、寺社の境内などにある一本桜を、その由緒と共に愛でるのが主流だった。群桜だと多品種をとりまぜて、ひと月近く、順々に花が咲くようにされていた。ソメイヨシノがあたり一面、満開になるような光景は見られなかった。

戦後、ソメイヨシノは、高度成長期に日本全国に植えられ、爆発的に拡散した。古い土地の記憶を抹消し、新たな「故郷」のシンボルになった。

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