寺島実郎と世界認識

先日、寺島氏の講演を聞きに行った。TBSの『サンデーモーニング』やテレ朝の『報道ステーション』での限られた時間と制約での断片的なコメントを拝聴するが、今回は2時間以上ぶっ続けでのレクチャーを聞いた。講演後の懇親会では、何代か前の日銀総裁を見かけた。

渡された資料集のタイトルが「時代認識と提言」(2016年 春号)、120ページ余り。その中の略歴のページを開くと、現在就任中の役職だけで50数個!も列挙されているが、最も世間的に通っているのは、「日本総研理事長」と「多摩大学学長」の2つだろう。元々は三井物産のリサーチ畑というポジションから日本と世界を見てきた人。

僕自身は、「日本が満洲など大陸に進出したのは、黄禍論に沸くアメリカが日本からの移民を禁止したため」という100年前、20世紀初頭の頃の、現代日本人の認識にほとんど上ることのない歴史的事実を指摘、強調した寺島氏の本に啓発されたものだった。

レクチャーのノートは取らなかったので、過不足のない要約はできないが、話のポイントは「日本人よ、歴史、特に近代史、それも世界史を勉強せよ!」ということだった。寺島氏は長年にわたり、毎年、経団連加盟企業だかの人事部長・経営企画部長たちを豪華客船に缶詰にしての集中セミナーで講義をしているが、彼らの歴史の知識・認識の欠落、ブラックホールぶりを痛感しているという。また、彼らの世界・地球感覚が地球儀でなく、日本を真ん中に置いたメルカトル図法の地図に捕らわれすぎているとも指摘した。

「黒船」にしても、有名な1853年のペリー来航以前に、ロシア等の船が来ていたこと等々…と近代史のさまざまな事象は絡まりあって、さかのぼって行き着くところが400年前、17世紀のオランダなのだという。「1648年のウェストファリア条約」なのだという(言葉だけは世界史で習ったのは覚えている)。

――寺島氏の話は、既知の事柄もあるが、全体に刺激的だった。では、自分自身の身を振り返るとどうか。かばんの中に入れてちびちび読んでいるのは、なぜか『旧約聖書の誕生』という本だ(その前に読みかけていた『魔界転生』みたいな娯楽に徹する読書は、時間がもったいない気がした)。我ながらちょっと守備範囲が広すぎるというか、こなしきれない恐れがある。

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