霊柩車の誕生と消滅

NHK「所さん!大変ですよ」を見て「へー」と思ったこと。

黒塗りの自動車の屋根の部分を御輿のような金色と伝統的な寺社建築のような装飾で彩った霊柩車(「宮型霊柩車」と呼ぶらしい)が、今やほとんど用いられなくなっているという。大手葬儀会社(だったか)にも、中古で売ろうにも買い手がいないから膨大に残っているという。ネットのオークションでも1台1万円からとか。
原因は、住民、特に高齢者が「死を想起させる」から見たくないと考えることが大きいという。そういえば、この数十年で急速に高齢化が進んだ。

一方、モンゴルでは、日本で嫌われるようになった宮型霊柩車の中古車が大人気なのだという。旧ソ連の影響が圧倒的だった時代に仏教が弾圧され、国内に数百あった仏教寺院のほとんどが破壊された。モンゴルの高僧によれば、宮型霊柩車は、破壊されて今はない仏教寺院に最も近い具体物なのだという。

井上章一の出世作『霊柩車の誕生』は未読のままだが、この番組を見て思い出した(同じ著者の『美人論』は、すぐに飛びつき、続編も読んだ)。未読のままなのはタイトルから着想、目の付け所の卓抜さが分かり、いわば内容も半分くらい分かるような気がしたというのが大きかった。いわば「社会史」というのは、上手いネタさえ見つければ一冊本が書けるような…。

その霊柩車=宮型霊柩車も(少なくとも発祥の国・日本では)終焉を迎えつつある。
森羅万象、全てのものに始まりと終わり、誕生と死がある――と言えば一般化しすぎか。

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