山本七平の陸軍体験

最近、電車内などでちびちび読んだのが山本七平の陸軍体験をめぐる2つの本、『一下級士官の見た帝国陸軍』と『私の中の日本軍』上・下(共に文春文庫。原著は前者が1976年、後者が1975年の刊)の計3冊だが、詳しく引用したりコメントしたりする気にはならず。

その理由は、40年余り前に執筆され掲載されていたのが雑誌の連載で、連載時の戦時中の陸軍による「百人斬り」記事の真贋をめぐる論争などの夾雑物のせいもあるが、「敗戦前の日本軍に対する著者の『違和』に基づく指摘・批判が、現代からすれば極めて真っ当に思えるから」という面が大きいと思う。例を挙げれば、陸相当時の東条英機による「戦陣訓」(「生きて虜囚の辱めを受けず」=捕虜になるなら自決せよ、とした)の理不尽さの指摘等々。

戦時中、大部分の日本人が当たり前として受け入れていた陸軍での慣行などを人並み以上におかしいと考え、指摘した、現代人から見た「真っ当さ」は何に由来したのかといえば、自ら「三代目のクリスチャン」と称する、日本では一貫して少数派のクリスチャンであり、さらには明治末の大逆事件で死刑に処された大石誠之助が父方の親族だったという、生い立ちの戦前・戦中期の日本社会における「マイノリティ性」ないし「異邦人性」によるところが大きかったと思われる。

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