知らないことだらけ

どんなに博識の人でも、一人の人間が知っていることなど高が知れているわけだから、自分が思うのは当然だが。

返却前の本の一冊:
樺山紘一『歴史の歴史』(千倉書房、2014):
西洋史学者の本を飛ばし読み。

奴隷についての章から引くと、
「スペイン王室による土地配分制度であるエンコミエンダ制のもとで、アメリカ先住民は、強制的かつ無報酬の労働にしばしばかりだされた。これは、語の本来の意味での奴隷というべきかどうかはともあれ、同時代にあっては典型的な奴隷と理解された。古代ローマの奴隷制度このかた、これほど大規模で徹底した現実は、これまでありえなかった。」

南米については、北米よりはるかに大規模に、ブラジルのサトウキビ農園などでアフリカから連行された黒人奴隷が働かされた事実は広く知られているし、ピサロらが高度な文明を誇ったインカ文明などを滅ぼした経緯には、数百年前のことなのに、いまだ同じ非ヨーロッパ人として義憤を覚えざるを得ない。

そのくらいしか知らなかったが、上記引用は、「スペイン人による先住民の奴隷化」がアフリカからの黒人奴隷移入以前に大規模に行われていた史実を指摘している。

「中世社会と法について」の章の「ゲルマン法とローマ法」の節を見ると、
「ローマ法継受は、ある意味では、特殊にドイツ的ローカリティに局限された歴史的事件であり、すべてのゲルマン法世界に共通していたわけではない。イングランドのように、ローマ法の浸透をついにこばみとおした地域もあり、また北部フランスのように、とりたてていうべき社会的あつれきをひきおこさなかった事例もある。(中略)中世ヨーロッパ世界では、ふたつの法圏の統合はおこらなかったのであり、当初から刻印されていた地理的境界線は、ほぼ不変のままひきつがれた。」

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