歴史と体験

新刊本は出ていないので、昔持っていた橋川文三『歴史と体験 近代日本精神史覚書<増補版>』の古本(春秋社、第一刷1968、第二刷1971)をアマゾン経由で買った。

冒頭の「ある往復書簡――吉本隆明に」では、次のように述べられている。

「ぼくは戦争体験の重大さとそれへの『固執』とは区別して考えます。経験そのものへの固執がそのまま思想化のエネルギーにならぬことは、鶴見俊輔や藤田省三の力説するとおりだと思います。
 つまり、ぼくらのくぐった経験がいわば『思想』として普遍化されることが問題である限り、ぼくらがその即自的な素材としての経験において、まさに宇宙的に(!)独自である所以の箇所に、そのエネルギーのすべてを注入することが、実存と普遍の架橋につながることを信じているのです。」(『 』内は原文では傍点箇所)

――ここでは、一見すると先に日記で孫引きした宮嶋氏の引用箇所と違って、「体験(特に戦争体験)の思想化、普遍化」への信念が述べられている。戦中派として戦争体験にこだわり、その普遍化に努める意欲が語られている。

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