「東洋のベニス」だった堺

返却前の本:

1)角山榮『堺―海の都市文明』(PHP新書、2000年)
2)増山義郎『太平洋――開かれた海の歴史』(集英社新書、2004年)
3)谷川健一『列島縦断 地名逍遥』(冨山房インターナショナル、2010年)
4)橋川文三『[新装版]近代日本政治思想の諸相』(未来社、2004年。初版は1968年)
5)橋川文三対談集『歴史と精神』(勁草書房、1978年)
6)犬丸一郎『軽井沢伝説』(講談社、2011年)
7)小林英夫『日本近現代史を読み直す』(新人物往来社、2010年)
8)蓮池薫『私が見た、「韓国歴史ドラマ」の舞台と今』(講談社、2009年)
9)『山野河海の列島史』(朝日選書、2004年)
10)ブルース・バートン『国境の誕生 大宰府から見た日本の原形』(NHKブックス、2001年)
11)松浦武四郎『アイヌ人物誌』(平凡社、2002年)
12)『七一雑報を創ったひとたち』(創元社、2012年)
13)『双方の視点から描くパレスチナ/イスラエル紛争史』(岩波、2011年)
14)『サンティアゴ・デ・コンポステーラと巡礼の道』(創元社、2013年)

1)のテーマは堺の歴史だが、著者は元々、西洋経済史が専門であるため視野が広い。著者によれば、15~17世紀の東アジア・東南アジア海域は、物産の交易でも文化交流でも史上最も繁栄した地域だったという。また、欧米の歴史学の定説では、16世紀の世界でスペインが最も繁栄と覇権を誇ったことは、メキシコや南米の銀山を獲得したことによる。現在のGDPのような尺度がない当時の経済力は、金や銀の保有量で計るのだが、日本の銀の産出・保有量がスペインに匹敵することが判明した後も、歴史の書き換えは行われず、諦められたようだという。

・この本に引用された、田中健一氏の研究によれば、倭寇の実態は日本人と朝鮮人の連合体で、活動の目標は、高麗の租米の略奪と朝鮮半島の人々を略奪し労働力として使役することであり、領土的野心はまったくなかった。

・朱印船は重火器をいっさい積んでいなかった。その後、対外的商業利潤追求を捨て、農業中心の儒教国家をめざした「アジア的価値」=諸地域・諸国家は、領土的野心と武力の重装備化の道をひたすら辿った「ヨーロッパ的価値」=勢力によって、植民地化、隷属化されるようになった。

・堺商人が「黄金の日々」の時代に儲けた富の大部分は、著者によれば、寺院への寄進ないし寺院建設に費やされ、西欧資本主義の興隆についてマックス・ウェバーが指摘した「プロテスタンティズムと資本主義の精神」のようなエートス、資本の蓄積には向かわなかった。

・鉄砲と火薬の技術は、ヨーロッパと対照的に、鎖国していた江戸時代の日本で花火となって昇華した。

・堺の大商人たちの富は、切支丹バテレンからすれば、一見では何の価値も見いだせないような「茶の湯」文化に蕩尽された。(茶器一個の値段が、当時のイエズス会日本支部の年間予算を上回る高値だったと、ヴァリニャーノが記している。)

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